0. 合格か不合格かは『勉強方法』で決まる

更新日 2022年1月15日

勉強より勉強方法を伝えるべきではないか?

受験生の勉強をサポートしていて強く思うことがあります。

それは『勉強』を教えるより『勉強方法』を伝える方が、受験生にとって価値がある、ということです。

週に2時間一緒に勉強しても、その時間分の効果しかありませんが、『勉強方法』が改善されたら全ての勉強時間の効率が上がるからです。

そして理想的には、『勉強方法』を身につけた受験生は誰かに見てもらう必要もなくなります。

自力で課題を把握して、優先順位を決めて、自己改善できるようになった受験生は、むしろ家庭教師や塾の時間の方がムダになります。

事実、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工/東大京大といった難関大を受験する人の中では、独学中心の人の方が合格率が高い傾向にあります。
<6.1 塾に頼る人の合格率は低い>

だからこそ、理想論ではありますが独学で進められるように『勉強方法』や『分からない問題の調べた方』を伝えて、どうしようもないときだけ『勉強の内容』に手を貸すようにしています。




間違いだらけの受験勉強の常識

例えばこんなことに心当たりはありませんか?

  • 勉強時間を自慢する
  • できるだけ大量の問題集に取り組む
  • 塾でたくさんの講習を受ける
  • 英単語を何度も書いて覚える
  • 実力がついてから過去問に取り組む


どれも一見よさそうにみえます。

ただ、難関大受験者1000人にアンケートを取った結果、ある程度のレベルに到達すると、これらは合格につながるどころか、モノによってはマイナスに働きかねないと分かりました。



<『勉強時間』と難関大の合否>



合格した人と不合格だった人で『勉強時間』の差はほとんどありませんでした。

大学によっては合格している人の方が勉強時間が短い、ということすらあります。

もちろんある程度の勉強時間は必要ですが、合否を分けるのは『勉強時間』ではありません

<7.1 難関大に合格する人の勉強時間は?>




<『問題集の数』と難関大の合否>


※学校/塾の指定問題集もカウントしました。
※浪人を経験した人も、現役時代の使った問題集と合否を回答してもらっています。
※東大京大を選んだのは、学部によって受験科目に差がないからです。

例えば、東大京大(理系)に合格した人は28.1冊の問題集をこなしたのに対し、不合格だった人は32.1冊でした。

多くの問題集をこなした人の方が難関大に合格しそうですが、実は合格した人の方がこなした『問題集の数』が少なかったです。




<使った問題集と難関大の合否>


合格者の方が難しい問題集をこなすと思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。

上のグラフは早稲田/慶應の受験者が使った英語長文問題集ですが、合格した人と不合格だった人が使った問題集に大きな差はありません。

これは「どの問題集をやるか」が合否を分けるわけではないことを示唆しています。




<塾に通ったかどうかと難関大の合否>


塾に通っていたか人と、通っていない人で、合格率に差はありませんでした。

これは必ずしも「塾に行っているから合格できる」わけではないことを示唆しています。



また「勉強の中心を塾/学校/独学のどれにすえたか?」という質問の回答別に合否を見てみると、塾を勉強の中心にすえた人は合格率が低いことが分かります。

決して「塾に通わない方がいい」と言いたいわけではありません。

ですが、少なくとも「塾にたくさん通えば合格できるだろう」と思うのは危険です。

<6.1 塾に頼る人の合格率は低い>



ここまで以下が合否を分けるわけではないことを示してきました。
  • 『勉強時間』
  • 『こなした問題集の数』
  • 『使っている問題集』
  • 『塾に通うか通わないか』




では何が合否を分けたのか?

そこで合格した人と不合格だった人で大きく差が出たものを見てみます。


<『問題集の取り組み方』と合否>


問題集の取り組み方で、合否が大きく分かれていることが分かります。

もっともはっきりと差が出た東大京大(理系)の受験者について見てみます。

同じ問題集を繰り返すよりできるだけ多くの問題集を解いた」と回答した人の合格率は11%でした。

一方で「同じ問題集の間違えた問題を3~4回繰り返した」と回答した人の合格率は59%でした。

なお、どの大学でも文系理系でもおおむね「同じ問題集の間違えた問題を3~4回繰り返した」と回答した人が最も合格率が高かったです。
<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>




<英単語の覚え方とセンター英語得点>


『英単語の覚え方』と、『センター英語(筆記)の得点』には一定の関係があることが見て取れます。

センター英語の点が高い人は、日本語か英語を隠して答えられるか確認しながら覚える人が多いです。

センター英語の点が低い人は、聞いて覚えたり、書いて覚える人が多いです。

聞くだけ、書くだけでは効果が低く、解きながら覚えた方が効率がよいと言われています。

これは『テスト効果』と呼ばれ、海外の大学で実験され、効果が確認されているものです。

がむしゃらに暗記する人が多いですが、『定着しやすい覚え方』は海外の大学で研究されており、それらを知っているだけで何倍も効率の差が生まれます。
<8.3 英単語の覚え方>
<9.3 問題を解きながら覚えると効率が20%アップ>




<過去問を初めて見た時期と難関大の合否>


過去問を初めて見た時期が早い人ほど、合格しています。

「過去問演習の時期」ではなく「初めて過去問を見た時期」です。

難関大ほど、問題の傾向にクセがあるので、志望校によってやるべきことがかなり違います。

ですから、早めに過去問を見て「こんな問題の対策が必要だ」とやるべきことを把握した人の合格率が高くなって当然です。
<8.6 過去問は早めに『見る』>
<8.8 難関大合格者は逆算で勉強する>



<まとめ>

繰り返しになりますが、合否を分けるのは『勉強時間』『問題集』『塾』ではなく、『勉強方法』です。




『勉強方法』『勉強の目的』の二つがあれば

『勉強方法』が重要であることを理解してもらえたと思います。

(少なくとも、合格した人と不合格だった人に大きな『勉強方法』の差があったことは明らかです)

ですがほとんどの学校/塾には『勉強方法』を伝える授業、というものはありません

そのため多くの受験生が「効率のよい勉強方法って何だろう」と考える機会すらなく受験勉強を終えてしまいます。



勉強のやる気がなくなるのは以下二つが原因だと思います。

  • なぜ勉強する必要があるのか分からない
  • どれだけ勉強しても結果につながらない

勉強が何の役に立つのかも分からず、努力してもそれが成績につながらなければ、やる気がなくなって当然です。

そんな状態で「勉強しろ」と強制されたら、さらに勉強が嫌いになり悪循環に陥ります。



逆に明確な目的意識があったり、勉強が将来こんな風に役に立つ、と分かったらやる気が少しは出ますよね?

さらに正しい勉強方法によって努力した分だけ成長できるという状態なら、勉強はゲームのように思えてくるかもしれません。

(実際、勉強ができる人はゲーム感覚という人が結構多いです)


つまり、やる気を出すためには、がむしゃらに勉強することでもなく、「勉強しろ」という言葉でもなく、まず『勉強方法』と『勉強の目的』を知ることが大事だと思います。

本サイトは『勉強方法』と『勉強の目的』を伝えるために立ち上げました。


章の順番は受験生から質問が多い順にしましたが、私が本当に言いたいことは逆の順番です。
・1~5章:問題集
・6章:塾
・7章:勉強時間
・8~11章:勉強方法
・12章:勉強の目的






正しくかつ自分に合う勉強方法を見つける

世の中に『勉強方法』を紹介する本/サイト/Youtubeはたくさんあります。

ですがそれぞれの主張は全く反対のことすらあります。

「青チャートだけでいい」
「青チャートは絶対に使うな」

「数学は暗記だ」
「数学は暗記ではない」

「読むだけで覚えられる」
「読むだけでは覚えられない」

「授業のノートは取るべきだ」
「ノートは取らなくてもいい」


ちょっとネットで検索するだけでも、全く反対の『オススメ勉強法』がたくさん出てきます。

なぜこんなことが起こると思いますか?


一つ目には、たった一人だけの経験をもとに主張しているからです。

「私はこれで合格した!」というその人の経験は、確かにどれもウソではありません。

ですが、それが「誰にでも当てはまるか?」ということは検証されていません。

たった一人の経験が、誰にでも当てはまると思うのは危険です。



二つ目には、情報を発信する側が他の人と違うことを言って目立ちたいと思うからです。

本/サイト/Youtubeをつくる立場になって考えてみてください。

世の中にはたくさんの『勉強方法』の本/サイト/Youtubeがありますから、とにかく目立たなくてはいけません。

目立つためには、他の人と違うことは言わなければいけません。

そうすると、自分の経験の中でも極端で特殊な『勉強方法』を言いたくなります。

そうしないと誰にも見てもらえませんから。

こうして極端で特殊な『勉強方法』ばかりが競うように世の中に発信されることになります。

ですが、情報を受け取る側として、そんな極端で特殊な大逆転の勉強方法や、超天才にしかはまらない勉強方法は、むしろ参考にしてはいけません

ネットが登場しても、受験生の負担が30年前に比べてちっとも減っているように見えないのは、ここに原因があるのではないでしょうか?



そこで私は難関大を受験した合計1000人にアンケートを取りました。
※一度目のアンケートは101人、二度目のアンケートは899人です

1000人について、勉強方法と大学の合否を照らし合わせることで、『合否を分けた勉強方法』を洗い出しました。

不合格だった人がやっていなくて、合格した人が実践した『勉強方法』は、合格につながる『勉強方法』である可能性が高いと言えます。

たった一人の経験をもとにした、また極端に特殊な部分が強調された『勉強方法』よりは信頼できるものなはずです。



ただしあくまで「多くの人に当てはまる勉強方法」であって、「絶対に全員に当てはまる勉強方法」ではありません。

したがって、このサイトで紹介する勉強方法を、まずは試しにやってみて、効果が出たものや、気に入ったものだけを採用してください。
(もちろんなるべく有効な勉強方法を紹介しているつもりです)

「トライ&エラーで自分に合う勉強方法を探すこと」が、受験勉強の最大のコツです。